他の国のEPZについて
ご紹介している香港の原子力情報サイトに、他の国のEPZについて比較した記載がありました。
日本ではあまり見かけないものなので、ご紹介します。
DBCP-RADIATION AND NUCLEAR SAFETY-NUCLEAR EMERGENCY MANAGEMENT より
2011年12月13日のものです。
IAEAの認識では、日本はUPZが8~10キロと定めてあるだけです。
推測でしかありませんが、日本でEPZと言われていたものが、IAEAではUPZという認識にしかならなかったのではないでしょうか。
当時日本にはPAZもUPZもなかったのかもしれません。
日本の基準がいかにいいかげんだったかがよくわかります。
4に日本の対応がかかれていますので翻訳しておきます。
2011年11月日本の原子力安全委員会はPAZを半径5キロ圏、UPZを30キロ圏、PPZ(プルーム・プロテクティブ・ゾーン:プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域)(屋内退避など)を50キロ圏と制定した。
PPZなるものが制定されていました。
PPZ=Plume Protective Zone
Webで検索したところ、原子力安全委員会の資料に「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域」とありました。
参照:原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方について
50キロどころじゃないと思うんですけどねえ・・・。
最後に、IAEAの資料に「長期間防護行動区域」(LPZ:Longer Term Protective Action Zone)というものがあるということに注目して下さい。
日本ではおそらく一般的に知られていない概念ではないでしょうか。
原発先進国のフィンランド、ドイツでは、LPZを100キロとしています。
日本にもこのような区域が必要なのではないでしょうか。
よくわからない日本語 原子力災害の避難区域について EPZとは?
EPZについて、香港の原子力情報サイトを、わかりやすい日本語に翻訳したものを紹介しました。
一応ここでよくわからない日本語のEPZの説明も紹介しましょう。
原子力防災基礎用語集:防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ) より
防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)
防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ:Emergency Planning Zone)とは、原子力施設からの放射性物質又は放射線の異常な放出を想定し、周辺環境への影響、周辺住民等の被ばくを低減するための防護措置を短期間に効率良く行うため、あらかじめ異常事態の発生を仮定し、施設の特性等を踏まえて、その影響の及ぶ可能性のある範囲を技術的見地から十分な余裕を持たせて定めた範囲をいう(原子力安全委員会の「原子力施設等の防災対策について」(防災指針)による)。
防災対策重点地域(EPZ) - 安全 | 電気事業連合会 より
防災対策重点地域(EPZ)Emergency Planning Zone
原子力施設の事故などを想定し、周辺住民の被ばくや放射性物質による汚染の影響を低減するため、影響の及ぶ可能性のある範囲を、あらかじめ技術的に起こりえない十分な余裕を持たせて定めた範囲。
原子力安全委員会はEPZを原子力施設から半径約8~10km圏内と定めていたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて見直しが行われた。事故後、従来の EPZの範囲に入っていない周辺自治体からEPZの拡大や電力会社との定期的な協議を求める声が挙がったため、原子力安全委員会は2011年11月に改定案を提示した。
日本では以前はPAZとUPZがなかったので、EPZだけが実質的な原子力災害における防災区域となっていたようです。
原子力災害の避難区域について知っていますか? EPZとは?
実は私は先日まで避難区域についてまちがった認識をしていました。
こんな記載をみかけたことはありませんか?
UPZ = Urgent Protective action planning Zone 緊急防護措置計画範囲(5~30キロ)
EPZ = Emergency Planning Zone 防災対策重点地域の範囲(5~10キロ)
PAZ = Precautionary Action Zone 予防的措置範囲(~5キロ)
PAZは最近は一般に「即時避難区域」、UPZは「避難準備区域」と呼ばれています。
調べてみると、EPZは廃止になり、現在はUPZを採用することになった・・・という記載がされているものが散見されました。
ああ、そうなのか、広い範囲を採用することになったのね・・・と単純に考えていたのですが、英文の資料を読んでいてそれが間違いであることに気づきました。
正しくは、PAZとUPZをひっくるめた、防災区域がEPZと呼ばれる区域なのです。
日本語で記載されているものを読んでも、私にはさっぱりわかりませんでした。
お役所の日本語って、なんてわかりにくいんでしょう!
実は私は香港の原子力情報サイトを読んでいて初めて理解しました。
英文と中文にもかかわらず、日本語よりわかりやすいというのはどういうことでしょう。
もう、笑うしかありません。
ここまでくると、故意にわかりにくい翻訳をしているのではないかと思ってしまいます。
というわけで、わかりやすい翻訳を掲載したいと思います。
DBCP-RADIATION AND NUCLEAR SAFETY-NUCLEAR EMERGENCY MANAGEMENT より
EPZとは何ですか?(中文では「緊急計画区」)
EPZとは原子力施設周辺の防災エリアです。
このエリアでは、事前に詳細な危機管理計画を策定・準備し、原発事故が発生した場合は、住民に適切な情報と防護措置を提供しなくてはなりません。
国際原子力機関(IAEA)のEPZとはどんなものですか?
国際原子力機関は以下の種類のEPZを設定しています。
・PAZ(Precautionary Action Zone)(中文では「予防行動区」)
・UPZ(Urgent Protective Action Planning Zone)(中文では「緊急防護行動計画区」)
はい、よくわかりましたね!
EPZというのは原子力災害の防災エリアです。
原子力発電所における事故や災害に備えて、防災対策を適用する区域ということです。
次回は、PAZとUPZについても、こちらのサイトを参考にみていきたいと思います。
このサイトの記載は、IAEAの国際安全基準(IAEA Safety Standards)から参照、引用されています。
Arrangements for Preparedness for a Nuclear or Radiological Emergency, GS-G-2.1 (2007)
ちなみに私の翻訳は、中文メインで英文も一応確認しながら翻訳しています。
原発関連の専門用語が全くわからないので、英文だけだとうまく翻訳できないことが多く、中文をメインに翻訳しています。
もし、間違いやお気づきの点がありましたら、遠慮なくご指摘ください。
詳しく教えていただけるとありがたいです。
こんな単純明快なことなのに、どうして日本語のサイトの記載はわけがわからないものが多いのでしょうね。
参考までに、日本語サイトのURLをのせておきます。
読むと混乱するかもしれませんので、読まない方がいいかもしれません(笑)。
原子力防災基礎用語集:防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)